2023年3月12日日曜日

まちのえき岡菊苑が最後の一般開放

 

 安城市朝日町にある初代安城町長・岡田菊次郎の本宅を活用した交流の場「まちのえき岡菊苑」が3月末で閉苑することなり、3月1日から15日まで一般開放されている。1867年に生まれ、1962年に死去した岡田菊次郎の自宅は碧海郡きっての穀屋となった父親が大正6年(1917年)に店舗も兼ねて建てたもので、朝日町商店街の中心通りの中にあり、安城の市街地では唯一の古い瓦葺き木造建築物とも言われている。この建物を安城市中心市街地活性化協議会が平成26年4月に交流の場としてオープン、各種イベントなどを開催してきた。

 岡菊苑の一般開放は、イベントの運営を担ってきたボランティアグループが多くの人々に築100年以上の貴重な建物を見てもらおうと開催したもの。「入ってすぐの土間には、昨年9月に発刊された菊次郎の生涯を分かりやすくまとめた冊子『安城のまちを創った男 岡田菊次郎』の原画パネルなどを展示し、所蔵品や中庭、茶室も見学できます」(2月24日付安城ホームニュース)。土間に接する畳敷き小部屋には帳場格子、小机、帳場箪笥、金庫などが並び、岡田菊次郎の大きな写真が掲げられている。
土間に菊次郎に関する資料を展示
昔の帳場を再現した土間に接する部屋
がらんとした2階も一般公開
 土間の入り口には机を設置、来場者に名前を書いてもらうと共に、岡菊苑の建物保存運動への賛同を求める署名を呼びかけた。中日新聞によると、安城市議会では8日、現在の安城の基盤をつくった岡田菊次郎が後半生を過ごした岡菊苑の保存についての質問があり、「取り壊しが予定されていると聞いているが、移築を含めた保存は経費、期間の面から断念せざるを得ない」という答弁があった。岡菊苑の中庭の奥には岡田家の住居があり、妻を亡くした後継者が1人暮らしをしていた。しかし、この後継者が最近急逝したことから、別の場所で暮らしている相続人が売却することを決めたという。住居の門は朝日町商店街とは反対の裏通りの方にあり、中庭、蔵を挟んで、全体の敷地はかなり広い。

 岡田菊次郎は碧海郡安城村戸崎(現安城市安城町)に生まれた。安城町長などを務め、安城を碧海郡の中心とするため、県立農林学校や紡績工場などの施設の誘致、警察署や郡役所の移転、道路整備を次々行った。町長時代に手がけた町道は100路線近くになり、当時の安城の道路整備は突出していたという。また、明治用水土地改良区の初代理事長も務めた。

中庭の奥に離れの茶室
隣に水屋も備えた茶室
岡田家の代々の当主
裏の通りにある住居の門








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