2024年1月28日日曜日

名古屋駅前でウッディ・アレン最新作を見る

 


 名古屋名駅のミッドランドシネマ2では上質なエンターテイメント作品「ART LABEL」を上映しているが、1月12日公開の『枯れ葉』に続いて、1月19日から『サン・セバスチャンへ、ようこそ』が公開されたので、1週間遅れの1月26日・金曜に見に行った。同作品は、児童性的虐待容疑のスキャンダルで新作があまり公開されていなかったウッディ・アレン監督作品で、2020年に制作された。舞台はスペイン北部バスク地方のサン・セバスチャンとそこで開かれている映画祭で、第68回サン・セバスチャン国際映画祭のオープニング作品となったという。

 ART LABELチラシのアートチェックのコラムでは、「監督の映画愛とセンスが溢れ出す」として次のように記載。「華やかな映画祭の様子を切り取り、軽快なジャズ・ミュージックが流れる中、フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』、オーソン・ウェルズ監督の『市民ケーン』、ジャン=リュック・ゴダール監督の『勝手にしやがれ』など、ウッディ・アレンのチョイスでクラシック映画を劇中に起用」。アレンを思わせる冴えない男性を演じるのは、『マンハッタン』、『ラジオデイズ』などの作品に出ていたウォーレス・ショーン。

 夢などの劇中劇としてかつてのヨーロッパ映画をモノクロ画像で再現した作品では、『8 1/2』、『勝手にしやがれ』のほか、フランソワ・トリュフォーの『突然炎のごとく』、クロード・ルルーシュの『男と女』、ルイス・ブニュエル『皆殺しの天使』が登場。さらに、イングマール・ベルイマンの『仮面/ペルソナ』、『野いちご』、『第七の封印』の3作品が登場。残念ながらベルイマン作品はあまり見ていないが、最後に出てくる『第七の封印』はアレンが最も好きで影響を受けた映画という。再現シーンでは、クエンティン・タランティーノ監督『イングロリア・バスターズ』でアカデミー賞を受賞したオーストリア出身のクリストフ・ヴォルツを死神を演じている。

2024年1月21日日曜日

『フィリピンパブ嬢の社会学』全国公開前に刈谷日劇で上映

 

 新潮新書で2017年2月に発刊された異色のノンフィクションを映画化、舞台となった愛知県で限定上映されていた『フィリピンパブ嬢の社会学』がいよいよ2月から全国へ拡大公開される。これに先立って、3カ月近く続けていたミッドランドシネマ名古屋空港での上映を終え、1月19日から刈谷市の刈谷日劇で上映を開始した。同時に、週末の土・日曜には映画上映後にトークイベント、フィリピンイベントも行われ、1月20日のイベントには原作者の中島弘象氏、監督の白羽弥仁氏も出演した。

 新潮新書『フィリピンパブ嬢の社会学』は、大学院生としてフィリピンパブの研究をしている中で名古屋市内の店に勤めるフィリピンパブ嬢と付き合い始め、その奴隷同然の暮らしを目の当たりにして奮闘するというノンフィクション。体験談の書籍化に当たっては、ピースボートで知り合った元朝日新聞記者に勧められことがきっかけになったという。2023年6月には、結婚後の生活を描いた第2弾『フィリピンパブ嬢の経済学』も新潮新書から発刊した。

 主演は是枝裕和監督の『奇跡』でデビューした前田航基で、ヒロイン役は映画初出演となる一宮レイゼル。1月20日のイベントには主演、ヒロインの出演はなかったが、フィリピンパブ嬢を演じた元パブ嬢のBelle Llorca Nishimeが出演、ホイットニー・ヒューストンの映画『ボディガード』の主題歌を披露した。彼女は現在とは違い興行ビザを取得して来日したパブ嬢で、来日する前に歌や踊りをみっちり練習したという。映画でもパブ常連客の「シバタさん」とデュエットで歌謡曲を歌っている。

 映画の撮影場所はほとんどが春日井市で、同市内にはフィリピンパブが多く、フィリピン人も多数暮らしているという。原作者の中島弘象氏も春日井市出身で、同市にある中部大学に通っていた。ただし、妻となるフィリピンパブ嬢に出会い、通った店があったのは名古屋市の栄4丁目の繁華街。中島氏によると、刈谷市内にも多くのフィリピン人が住んでいるようだ。

原作者の中島氏と白羽監督、Belleさん

スマホを見ながら熱唱するBelleさん

2024年1月16日火曜日

名古屋駅前でカウリスマキの『枯れ葉』を見る

 

 引退宣言をしたアキ・カウリスマキが銀幕に帰り、カンヌ映画祭で審査委員賞を受賞した新作『枯れ葉』が昨年12月15日から公開された。しかし、愛知県では当初上映予定劇場が空欄ままで関西など他地域に見に行かなくてはいけないかと心配したが、名古屋名駅のミッドランドスクエアシネマでようやく1月12日から無事公開された。

 ところで、ミッドランドスクエアシネマはルイ・ヴィトンなどブランドショップの並ぶミッドランドスクエアビルにあると思っていたが、同ビル以外にも裏のシンフォニー豊田ビル2階にもスクリーンがあった。そして、スクリーンの小さい上映はこの裏のビルで行われており、当然『枯れ葉』もこちらのスクリーンだった。しかも、週末には1日2、3回の上映はあったと思ったが、月曜の15日は何と12時45分の1回だけの上映だった。40分前くらいにはチケット売り場に着いたが、何と席は一番前の2席しか残っていなかった。数分後に到着した若い男性客は自販機で「チケットが買えない」とスタッフに問い合わせていたが、もちろん完売してしまったわけだ。チケット自販機横に上映映画のパンフが並んでいたが、『枯れ葉』は完売していた。

 館内に単独のチラシは置いていなかったが、1月19日から公開のウディ・アレン監督作品『サン・セバチャンへ、ようこそ』など共に、上質なエンターテイメント「ART LABEL」として同作も紹介されていた。そこのアートチェックというスタッフの簡単なコメントが映画の雰囲気をよく伝えていると感じた。「ノスタルジックな風景と多様な音楽をバックに、孤独さを抱えながら生きる女と男が、ヘルシンキの街を舞台に惹かれ合うというラブストーリー展開。バンド演奏からカラオケまで自在な音楽の使い方、随所に散りばめられたとぼけたユーモアと映画愛は、アキ・カウリスマキの真骨頂」。

 映画は貧乏な冴えない中年男女のベタなラブストーリーだが、ロシアがウクライナ攻撃を行なっているラジオ放送もところどころで流れると共に、カラオケを含めて様々なジャンルのミュージックも流れ、独特のテンポで物語は展開する。コラムニスト中野翠によると、初デイトで見ているゾンビ映画はジム・ジャームーシュ監督の『デッド・ドント・ダイ』という。最後に流れる曲はフィンランド語と思われれる言葉で歌われるシャンソンの「枯葉」。
待合室にあった『枯れ葉』のいろいろなコメント

パンフレットはソルドアウト

2024年1月11日木曜日

入場料必要な日販の本屋「文喫」が4月名古屋に開業

 日本出版販売と子会社のひらくが運営する入場料の必要な本屋「文喫」は4月23日(火)、愛知県名古屋市中区の複合施設である中日ビル2階に「文喫 栄」をオープンする。文喫3店舗目となる文喫栄は、これまでの2店舗(六本木、福岡天神)と比べて圧倒的な広い約370坪の大規模店舗となる。地元・名古屋に根付く喫茶文化に対応、「本屋と大喫茶ホール」をテーマに喫茶体験を通じた新たな本との出会いや嗜み方を提供していくという。

 店舗は162席の座席を有する広々とした大喫茶ホールで一点一点選書した約3万冊の書籍を揃え、自分に合った様々な空間で本を楽しんでもらう。さらに、おかわり自由のドリンクサービスも、こだわりの珈琲、紅茶といった豊富なラインナップを用意。また、入場料なしで気軽に買い物を楽しめる本屋エリアも設置、文喫ブックディレクターの独自視点で選書した様々なジャンルの書籍を並べると共に、企画・ポップアップスペースを併設、文具や雑貨、食品など書籍と併せて提案したい商品を幅広く販売する。

 4つのエリアに156席の座席を擁し、食事やデザートを楽しめるほか、仕事や勉強など自由に過ごせる有料喫茶スペースの大喫茶ホールエリアは、次の各エリアから構成する。エリアAは「読居 嘴広鸛-ハシビロコウ-」で、一人で本とゆっくりと向き合える、書斎のような空間。珈琲を片手に一日中、本の世界に浸ることができる。エリアBは「喫茶 セントラルサニー」で、友人と会話をしながら本を楽しめる、どこか懐かしい雰囲気の喫茶空間。喫茶カウンターでは文喫栄でしか味わえない喫茶メニューを注文できる。エリアCは「POP UPスタンド COFFE-コッフェ-」で、大きな窓から久屋大通公園が一望できる、開放的なカフェ空間。小上がり席にて親子で絵本を読んだり、アート本を大きく広げて見たり、のびのびと過ごすことができる。

 このほか、エリアDは「WORK&STUDY DENGEN」。本を傍らに集中とリラックスの時間を過ごせる空間で、仕事のアイデアを本に求めてみたり、勉強の息抜きに漫画を読んでみたりと、本との出会いによって作業が捗る、仕事や勉強に最適な空間。全席に電源と、打ち合わせにも対応可能な会議室スペース、個室ブースも完備している。

 併設のPOP UPスタンドには、様々な飲食店が出店予定。4月の開業時には、愛知県岡崎市のコーヒースタンド「TERAKADO COFFEE」が出店し、できたてクレープなど、子どもから大人まで楽しめる美味しいデザートをご提供するという。


 ■店舗基本情報

住所   :愛知県名古屋市中区栄4丁目1番1号 中日ビル2F

営業時間 :7:30~21:00(L.O. 20:00)

      ※物販は10:00~20:00

      ※諸般の事情により、営業時間が変更になる場合がございます。

席数   :162席

休業日  :1月1日、6月第4営業日 ※中日ビル休館日に準ずる。

ウェブサイト:https://bunkitsu.jp/news/sakae_release/

運営会社  :株式会社ひらく


 ■文喫について

 文化を喫する、入場料のある本屋。2018年12月に六本木に1号店をオープンし話題となり、2021年3月には福岡天神に2号店を出店。人文科学や自然科学からデザイン・アートに至るまで、数万冊の書籍をブックディレクターが1点ずつセレクト。来店されたお客様の新たな興味の入口となる偶発的な本との出会いを提供する。


2024年1月8日月曜日

半田市のJR亀崎駅は日本最古の駅舎

 

 日本最古の現役駅舎として鉄道ファンなどにも知られるのが、半田市の北部にあるJR武豊線亀崎駅舎。木造の外壁には「明治19年1月」と記された当時の建物財産標があり、「亀崎駅の駅舎は明治19年の開業当時駅舎で、当時の姿を今に見ることができる貴重な産業遺産です」と、半田市の観光情報サイトでは説明している。この説明通り外の駅名看板は文字が消えかかるほど古びているが、外壁などは何度か塗り直されているようで、駅舎の中も自動改札化されて、現在は無人駅として運用されている。

 駅舎内には「武豊線の歴史」のパネルが展示されている。その冒頭「武豊線は東海道線本線の生みの親」という小見出しの文章によると、武豊線は武豊港から鉄道建築資材運搬用に半田線の名称で計画され、明治18年8月に着工し、武豊-熱田間(33.2K)が明治19年3月に開通したという。「半田線の開通で鉄建築資材は汽車で搬送できたため、東海道線建築は著しく進捗し明治22年7月東京-大阪間が開通した。これに伴い大府-武豊間は支線となり明治42年に武豊線と名称変更した」。

 三河湾に面した亀崎は江戸時代、酒造業と海運業が栄え、多くの酒が江戸を運ばれて発展した。観光の面でも脚光を浴び、明治時代には福沢諭吉、田山花袋、柳田国男が当時宿屋だった望洲楼を訪れた。この安政2年創業の望洲楼は亀崎駅から徒歩10分の仲町通りにあり、現在は料亭として営業している。仲町通りには古い建物がたち並び、築100年以上の建物をリノベーションした長屋スタイルの喫茶店、フランス菓子店もある。

ホームを結ぶ古い跨線橋もある亀崎駅
料亭として営業中の望洲楼
ノスタルジックな仲町通り




2024年1月3日水曜日

西尾市制70周年記念ドラマ 「江戸からきたキラくん」

 東海テレビは、西尾市を舞台に愛知県出身の俳優・佐野岳が令和によみがえった吉良上野介を演じるエリアドラマ「江戸からきたキラくん」を1月2日午後2時から放送した。しかし、残念ながら放映時間を忘れていたので見逃してしまった。西三河ではそういう人は多いと思うが、何と見逃し無料配信サービス「ティーバー」では1月9日午後2時まで70分のドラマの本編を無料配信している。

 西尾市のホームページによると、同市は市制70周年を迎えるにあたり、西尾市の歴史・文化・観光スポット・特産品の魅力を織り交ぜたエリアドラマを東海テレビと連携して制作した。「物語は西尾市にゆかりのある吉良上野介が主役。歌舞伎や映画などで描かれる『忠臣蔵 』 では、赤穂浪士に仇討ちされる敵役だが、地元西尾市では名君とたたえられており、世間のイメージとは違う吉良像を知ることが出来る物語になっています」。

 ドラマの撮影地は吉良家の菩提寺である「華蔵寺」や、上野介が洪水から領地を守るために築いた「黄金堤」、歴史と文化が香る情緒豊かな「西尾市歴史公園」「旧近衛邸」「旧糟谷邸」、風光明媚な「吉良ワイキキビーチ」。その他、八面山展望台からの風景、しあわせの緑のロンドンバス、三河湾リゾートリンクス、順海町通り、SORAUMI GRAMPING BBQ RESTAURANT、うなぎ割烹みかわ三水亭、ゲストハウスきーず、玄楼窯、オティックス、名鉄吉良吉田駅付近、吉良吉田理容室付近、吉良高校前緑地でも撮影が行われたという。

 〈ドラマのストーリー〉 元禄15年12月、赤穂浪士に討ち入られ万事休すの吉良上野介。ところが、目を開けるとそこは令和の西尾市ロンドンバスの中!?しかも謎の若い男に乗り移ったようで容姿はすっかりイケメンに!そんな中、ケガをした上野介を介抱したのが、西尾市吉良町出身のエリート女子・高峰雲母。医師の父・義久とともに、上野介の世話をしようとするが、現代の「常識」を知らない上野介に振り回されることに。だが、その言動は「名君」ならではのもの。雲母もまた、上野介に救われかけるが、そんな中、実は……(西尾市のHPから)

 江戸からきたキラくんPR動画外部リンク・新しいウィンドウで開きます


安城コロナワールドでベッソン監督『ドッグマン』を

     安城市の複合娯楽施設「安城コロナワールド」にあるシネマコンプレックスで、リュック・ベッソン監督のアクション映画『ドッグマン』を観た。同シネマでは「重低音×振動シアター」大きく宣伝しているが、たまたまドッグマンがこの設備をそなえスクリーンで上映されていた。このため、安城コ...