2022年10月19日水曜日

安城町に謎の金太郎稲荷神社

 

 安城町名広の小道に沿って伸びる小さな神社があるが、同神社は「金太郎稲荷神社」と一風変わった社名が付いている。神社1万社以上のデータを公開しているウェブサイト「神社人」では、安城市内の神社として明治川神社、不乗森神社、白山比売神社、上条白山媛神社、若一王子社、古井神社の6社と一緒に掲載されている。宗教法人登録されていないため神社名鑑にも記載されていない小さな金太郎稲荷神社を、なぜ神社人サイトが掲載しているのかはっきり分からないが、おそらく社名に珍しい“金太郎”の名前が付いているためかと思われる。

 神社人サイトの勘太郎稲荷神社のページでは、「当社は幕末に天から神札(おふだ)が降ってきてそれを受け町の者が踊り狂うという『ええじゃないか』というムーブメントで受けられた神札と、東京は神楽坂に鎮座する出世稲荷神社(赤城神社の出世稲荷神社)の神札を授かり、それを一緒に祀ったことに始まるという」と記載。祭神は稲荷神(推定)で、ご利益は商売繁盛、五穀豊穣としている。

狛犬の間に祀られている小さな祠

 安城町の西側を占める西尾町内会が発刊した『西尾の歴史』は、1866年(慶應2年)、翌年の凶作の中で広がった「お札降り」の話について触れ、現存する金太郎稲荷はこれに縁のある祠と次のように記述している。「お札を拾ったのは百姓久七であり、しばらくこれを敬って、家のなかに祭っていたものであろう。のちに、名広組が社を造ることとなり、すすめる人があって、東京神楽坂の『出世稲荷』を請けてきて、稲荷の御札と『お札降り』の御札をいっしょに祭ることになった。その稲荷は『金太郎稲荷』の名で現在も祭っている」。ここでも稲荷神社がなぜ“金太郎”の名前をつけているのかは書いていない。

 西尾町内会では、地域に立地する若一王子社と毘沙門天極楽寺の奉賛会の活動を支援し、奉賛会の会長と総代を町内会長と評議員が兼務している。これは『西尾の歴史』に記載されているもので、金太郎稲荷神社は町内会の運営ではなく、町内会に所属する名広地区の有志で管理を行なっているとみられる。

小道に沿って細く伸びる境内


 

 

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