榎前町の東のはずれ、傾斜地の農林公園に沿って長い参道が伸びる榎前八剱神社は榎、黒松、楠木、杉、銀杏、ソメイヨシノなど多種類の樹木が生い茂る林の中にある。すぐ隣には公民館、町内会という公共の建物があり、まさに通常期は無人の旧村社が町内会によって実質的に運営されている姿が現れている。
市教育委員会作成のパンフ『歴史の散歩道』によると、榎前八剱神社は正徳2年(1712)の神社帳に載せられており、それ以前から祀られていたと考えられるという。明治6年(1873)の神社取調帳には祭神が日本武尊と記載され、不明となっていた祭神が初めて明記された。神社由緒板では、「創立年月日詳ナラズ古老ノ伝ニヨレバ日本武尊(やまとたけるのみこと)東夷征伐ニ向ウ道スガラ榎ノ大木ノ傍ニテ御休憩ナサレシ為人呼ンデ榎前ト称スルト共ニ小祠ヲ建テ祭神トシテ崇敬ス」とある。愛知県神社名鑑にもある同一文面の由緒は伝説の類のようだ。
境内末社として、水神社、御鍬社、天神社、津島社、秋葉社、稲荷社と、戦没者の霊を祀った護国社の7社が並んでいる。このうち水神社は無格社として別の場所にあったが、明治42年に八剱神社に合祀された。同神社は美しい乙女の姿をしている水の神、罔象女命(みずはのめ)を祭神としている。
1997年に改築された社殿
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