安城市の北東部、岡崎市と接する大岡町に鎮座する大岡白山神社の木造平家建て流造の本殿は安城市最古の建物で、平成19年に市指定建造物になった。しかし、古いだけに風雨による建物の傷みはかなり激しい。中日新聞では「みかわの名建築」シリーズで取り上げ、「建物は、柱がもろくなり、屋根裏などの見えない部分の損傷も心配される。改修費には6千万円以上が必要となる見込みだ。神社の氏子は165世帯で負担は難しい」と記載、大岡町内会会長のコメントも載っている。大岡白山神社は旧郷社であるが、町内会全住民を氏子としている高棚神明神社、福釜神明神社などの旧村社とは違って崇敬者だけを氏子としているためか、極端に氏子数が少ないようだ。
入り口にある市教育委員会の指定建造物説明書によると、大岡白山神社は養老2年(718)の創建と伝えられ、はじめ大岡明神と称していた。天文2年(1533)、徳川家康の祖父である松平清康が社殿を造営したが、天文9年に織田軍の兵火によって焼失、その後、永禄10年(1567)に家康により再建された。本殿は桁行(けたゆき)三間、梁間(はりま)二間の三間社流造で、昭和11年ごろに檜皮葺(ひわだぶき)から銅板葺に変更された。当初は国造の椎根津彦(しいねつひこ)を祀っていたが、1570年代に白山媛神(菊理媛尊=くくりひめのみこと?)と地主神の大岡忌寸(いみき)を合祀、三河三白山の一つに数えられたという。
境内の面積は1千862坪。本殿、幣殿、拝殿、社務所のほか、秋葉社、山神社、天神社、地主社、若宮社、八幡社、愛宕社、稲荷社、熊野社、須佐男社といった境内社がずらり並ぶ。さらに入り口左手の小さな池の真ん中には朱塗りの鳥居が設置され、その奥に市杵島社の祠も祀られている。また、拝殿の前には神域を囲む朱塗りの神門があり、中にはうっそうとした檜の森も広がっている。この檜の森は古木の大樹が伊勢湾台風で倒伏したことから、昭和36年に檜800本が植樹されて年々成長してきたもの。檜の森の横の民家のような木造の社務所には祭日以外に人の気配がなく、訪れる参拝者もごくたまにしかいないようで、まさに深閑とした森の中にあるような境内、神域となっている。
拝殿の前に神門
0 件のコメント:
コメントを投稿