2022年9月7日水曜日

三河鉄道神谷駅(松木島駅)跡


 名鉄三河線は豊田市北部の猿投駅から刈谷駅を通って碧南駅まで伸びる、全長39.8kmの路線である。以前は碧南駅から蒲郡線と連絡する吉良吉田駅まで伸びていたが、平成16年4月に廃線となった。もともと同線は三河鉄道が営業していたが、昭和16年6月に名古屋鉄道に合併吸収された。吉良吉田駅の隣にあった廃線駅の松木島駅は、三河鉄道開業当初は「神谷駅」として鉄筋コンクリート造りの駅舎を構えていた。同駅は三河鉄道の大株主、社長として発展に尽力したワイン王として知られる神谷傳兵衛の生誕地に設置したもの。

 鉄筋コンクリート造りの駅舎があったプラットホーム北側は現在、立ち入り禁止の看板が立ち、草に覆われた空き地が広がっている。少し前まで残っていて、ブログなどで撮影・紹介されているプラットホームの跡も草に覆われているのか、今は見当たらない。ただし、吉良吉田方面へ少し歩いて行くと、レールが撤去された跡の盛り土が伸びており、レールの敷石と見られる石も転がっている。さらに道路を横切っている陸橋跡も残っている。

駅がありホームがあった場所は草むらに
吉良吉田駅方面に伸びる線路跡には敷石も
陸橋

 駅舎は廃線になる前の昭和53年に老朽化のために取り壊され、すでにプラットホームだけの簡素な駅となっていたという。また、駅名は「神谷」から昭和24年に所在地名の「松木島」に改称された。三河鉄道がなくなり、神谷傳兵衛の名前も地元の人々の記憶から消えてきたため、駅名改称に至ったかと思われる。立ち入り禁止の草むらが整備されれば、残念ながら松木島駅の名残は全くなくなってしまうだろう。

展示会「神谷傳兵衛と刈谷の発展史」の神谷駅模型




 

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