天理教の教会は日本だけではなく海外にもあり、その数は1万6千余に及ぶという。教会には本部直属の大教会と分教会に分かれるが、名古屋市には大教会を凌ぐほどの規模の大きい分教会がある。地下鉄吹上駅の東にある愛町分教会で、巨大な門を構えた神殿の周りの敷地には信者会館、ようぼく修練場、立体駐車場の建物が建ち並んでいる。さらに愛町分教会は名古屋の本拠地だけでなく、愛知県を中心に50カ所に布教所を展開し、半田市には「愛町マーチングバンド」という愛称の全国的に知られる吹奏楽団も持っている。
愛町分教会は、霊能力を持つ天理教の大カリスマとして知られた関根豊松(1881-1969)が創始者。「規模からすれば他の多くの大教会をはるかにしのぐのであるが、関根豊松が大教会となることを希望しなかったので、名称は分教会である。その規模はとても大きく、天理教の教団内の独立教団と言ってもいいくらいである。関根豊松は分派の意志は全くなかったが、もし分派していれば、天理教有数の大分派教団になっていただろう」(愛知学院大学熊田一雄宗教文化学科準教授の原稿「天理教の男性カリスマの薄化粧をめぐって」から)。
前面に人工芝を敷き詰めた信徒会館 |
信徒会館前にある立体駐車場 |
神殿は幹線道路沿いに城壁のような屋根瓦をのせた塀が長く延び、中央に鳥居に似た巨大な門が設置、その横には梅鉢の紋章入りの提灯が吊るされている。塀の中の神殿は平成28年から30年にかけて屋根の葺き替え・改修工事が行われ、建物全体を覆う仮設屋根「素屋根」が設置された。「神殿は築60年を超える歴史のある建物ですが、美しく蘇った神殿を信者さんのもとに無事お返しすることができました」(鹿島建設中部支店)。
神殿隣の敷地にある前面に人工芝を敷き詰めた3階建て信者会館は、信者が宿泊できるようになっている施設のようで、マンションのように部屋が区切られている。横の建物には食堂も設置されているようだ。また、神殿北の敷地にあるコの字状の巨大なビルはGoogleマップに「用木修練場」と記載されている。ようぼくは、「陽気ぐらし世界建設のための人材・用材のことで、親神様のお話を聞いて、おさづけの理を戴き、ようぼくとなることができます」(天理教婦人会のウエブページ)。信徒たちの修行する場所のようであり、建築設計関係企業のウエブページで畳敷きに広間の写真を見ることができる。
横の通りから見たようぼく修練場 |
なお、愛町分教会は三河地区では刈谷市に愛刈町布教所、碧南市に愛五布教所、岡崎市に愛豊町布教所、豊橋市に愛千布教所を展開。知多地区の半田市には愛清布教所と、愛町ブラスバンドが練習するための体育館「修練所」も持っている。
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