海で隔てられている陸地と島が干潮時に繋がることをトンボロ現象と言うが、この珍しいトンボロ現象が見られるのが西尾市東幡豆町の前島(まえしま)。東幡豆港の700メートル沖合に浮かぶ無人島であるが、かつては「うさぎ島」と呼ばれ、数百羽のウサギが放し飼いされていた観光の島だった。また、前島の南南東600メートルの海上に浮かぶ沖島は、日本モンキーセンターの支所としてかつて野生の猿が観光目的に放し飼いにされていた。
2011年に西尾市に編入される前の幡豆郡幡豆町のPRパンフレットでは、「まだだあるぞオモシロアイランド」としてうさぎ島とさるがしま(沖島)を紹介。うさぎ島については、「周囲1kmほどのフィールドに約400羽のウサギのほか、ホロホロ鳥や、コウライキジなどが住んでいます。かわいいウサギたちとのスキップを楽しみ、しばし不思議の国のアリス気分にしたりましょう」とアピールしている。
平成25年発刊の『幡豆町史本文編3』は、「前島と沖島の観光開発」の項目を設けて、昭和33年(1958)に島の所有者が名古屋鉄道と賃貸契約を結んで観光開発に乗り出し、前島にウサギ8種類約300羽を放し飼い、同年9月に「うさぎ島」として開園したと説明。同時に珍しい鳥も放たれ、頂上付近には小さな「うさぎの家」が作られ、展望台、休憩所、売店なども整備された。同時に沖島に野生の猿が放し飼いにされて「猿が島」が開園。東幡豆港から2島を経て西浦に至る定期船を往復運行したため、「両島は三河湾海上動物園として観光客で賑わった」。ピーク時の昭和53年(1978)には56万人の観光客を記録したという。
この三河湾海上動物園は平成9年(1997)11月末に閉園した。観光客が14万人にまで減少、「年間6000万 円近い赤字を出すようになったため、合理化を理由に両園は閉園した。同時に名鉄海上観光による定期船も廃止となった。廃園にともない、うさぎ島にいた約100匹のうち77匹は動物ショップ業者に、ワラビー6匹のうち2匹は愛知こどもの国に、クジャク46羽のうち22羽は内海のフォレストパークに引き取られた。残りの20数匹のウサギとワラビー、クジャクは、日本モンキーセンター内で飼育されることになった」。
うさぎ島の観光パンフレットもあるようだが、ネットオークションや古書店サイトで出品商品が見つけられなかった。先日、西尾市の斎藤五朗画伯のアトリエで見たので、何とかして手に入ればと思っている。
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