西尾市の東幡豆海岸には、珍しいトンボロ現象が見られる干潟がある。トンボロ現象は普段海によって隔てられている陸地と島が干潮時に繋がる現象で、東幡豆海岸の干潮時には無人島の前島(まえじま)に歩いて渡れる。現在、同島へ歩いて渡れるのは潮干狩りシーズンのみで有料となっているが、7月2日に行われた「はず夢ウォーク」では参加者にトンボロ干潟の出入り口が開放され、自由に前島まで歩くことができた。
7月2日のはず夢ウォークは 、“海・山・民話にであうみち-稲生港石積防波堤、トンボロ干潟、三河の海と船溜まりコース”として午前8時半から10時の間に名鉄蒲郡線西浦駅から三々五々出発。ゴールの受付終了は午後3時で、干潟の干潮は午前11時19分に始まり(ウォーキングのチラシ記載)、午後2時過ぎに干潮は終わった。潮干狩りは毎年3月から初夏まで行われ、シーズン以外は干潟には入れないように柵がされている。ちなみに、東幡豆漁業協同組合によると今年の潮干狩りは7月6日まで終了となる。
前島は東幡豆港の700メートル沖合に浮かぶ小さな無人島。トンボロ現象が起こる前面部には潮干狩り観光客のための休憩所、トイレが設置され、奥の船着場から休憩所までは紫陽花が植えられた遊歩道があるが、島の上の方には展望台など観光施設は一切ない。清涼飲料水やビールだけ扱う休憩所の売店関係者によると、現在島の中は整備されていないので草が生い茂って踏み込めない状態という。
前島の前の砂浜に観光客用休憩所 |
ただし、前島はかつて「うさぎ島」と呼ばれた観光の島だった。平成25年発刊の『幡豆町史本文編3』では、昭和33年(1958)に島の所有者が名古屋鉄道と賃貸契約を結んで観光開発に乗り出し、前島にウサギ8種類約300羽を放し飼い、同年9月に「うさぎ島」として開園したと説明。同時に珍しい鳥も放たれ、頂上付近には小さな「うさぎの家」が作られ、展望台、休憩所、売店なども整備された。隣の沖島に野生の猿が放し飼いにされて「猿が島」が開園。「両島は三河湾海上動物園として賑わった」が、ピーク時に56万人を記録した観光客が14万人に減少、平成9年(1997)11月末に閉園した。
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