2023年10月23日月曜日

中日新聞に「自治会費から神社費支出」の西三河自治会

 

 10月23日付中日新聞に自治会費からの神社費支出について、西三河に住む自営業男性の意見とその意見に基づいた取材記事が大きく掲載された。このブログ「安城市の不思議」でも、安城市南部のいくつかの町内会で神社費あるいは氏子費を一律に徴収していることは信教の自由に反するものとして是正を求めているが、新聞の記事でも神社費支出に「『信教の自由』反する?」と見出しを付けて疑問を呈している。しかも、神社費だけにとどまらず、京都の時代祭への自治会費支出差し止め訴訟で神社の祭礼も宗教行事として疑問視されるようになった。

 西三河の自営業者の意見は次のような内容。「私の自治会では、会計から地元の神社へ毎年200万円支出しています。神社の係も住民というだけで強制的に担当させられます。信教の自由を認める憲法に違反しているのでは」。記事によると、この自治会には約200戸が加入し、会費は1世帯当たり年2万円。それぞれ1万円を神社費(たぶん祭礼費含む)として支払っている計算という。神社の役員は地区ごとにそれぞれ2人ずつ出し、催事などをまとめる神社係長や会計なども輪番制。「自治体と神社の氏子組織が一体化しているとも言える」(中日新聞記者)。

 安城市南部では町内会ブロック費に含まれる神社の氏子費・祭礼費、薬師寺費が合わせて5千円なので、西三河の自営業者が住む地区はかなり高額と言える。自治会の加入が約200戸とちょっと少ないので、1戸当たりの負担が大きくなっているかもしれない。ただ、記事では説明されていないが、200戸はあまりに少ないので、一つの神社をいくつかの自治会が一緒になって支えている可能性もある。

 記事では、自営業者が住む市では1987年12月、自治会の連合組織が「信教の自由」を前提に神社費に対する見解を提示、この見解を自治会運営の手引書に掲載し、毎年自治会長に配布と書いている。見解で示している対応策は、(1)自治会と氏子は別々に組織する(2)神社会計は独立して編成し、自治会会計からの支出はしない(3)自治会組織を利用して神社に対する寄付集めなどはしない。「今年9月の市議会定例会の一般質問でも男性が指摘する問題が取り上げられたことを受け、今月10日には全自治会の会長に注意を促す文書を送った」。

 実は記事では伏せられているが、この西三河の組織は「豊田市区長会」という名称の豊田市の自治会連合組織とみられる。同区長会は28あり、その下部組織として「自治区」という名称の298の自治会がある。1996年2月に提供した「自治区会計の処理方法」の資料では次のように記載している。「自治区は、思想、信条を異にする住民の集まりである。従って、特定候補に対する選挙運動並びに神社祭礼行事等には自治区の名をもって関わることは慎まなければならない。併せて、区費として徴収した資金をこうした特定活動(特に神社祭礼費等)に支出することも避けなければならない」。対応策として掲げているのは、代表者の分離、事業の分離、会計の分離。

 

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