2023年12月28日木曜日

『PERFECT DAYS』を阿久比のシネコンで

 

  カンヌ国際映画祭で役所広司が最優秀男優賞を受賞した、ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』が12月22日から日本で封切りされた。従来ならヴェンダース作品はミニシアターで細々と上映されるが、今回の作品は東京が舞台のカンヌ映画祭受賞作品ということから、ミニシアターだけでなく全国各地のシネコンで上映され、西三河でもイオンシネマ岡崎、ユナイテッド・シネマ岡崎でラインアップされた。

 しかし、上映スケジュール表を見るとイオンシネマ岡崎では初回が午前8時20分、2回目が午後5時、ユナイテッド・シネマ岡崎では初回が午前9時、2回目が午後4時と早朝と夕方からしかなく、昼間に行ける最適な上映時間は見当たらなかった。もちろん、冬休みの子ども連れの家族向けプログラムが昼間に多数上映されるため。そこで、近くのシネコンを探してみたら、知多のユナイテッド・シネマ阿久比で午前9時15分、11時55分、午後2時35分に上映していることを発見。安城市南部からだと、イオンシネマ岡崎までと車の所要時間があまり変わらないアピタ阿久比に隣接するユナイテッド・シネマに行った。

 主人公は古いアパートで一人暮らしをしている東京・渋谷の公衆トイレの清掃員で、その日常生活が淡々と描かれている。ただし、主人公が清掃を任されているのは普通の街中のトイレではなく、世界的な建築家やクリエーターがリニューアルした「THE TOKYO TOILET」プロジェクトのトイレ。通常は中が透けて見え、鍵をかけると不透明になるガラスを使った建築家・坂茂設計の有名なトイレも登場する。スクリーンでは様々なトイレ掃除が描かれるが、なぜか汚物などは一切出てこない。

 車内で流れるカセットテープの音楽も特徴。アニマルズの「朝日のあたる家」、オーティス・レディングの「ドッグ・オブ・ベイ」、ローリグ・ストーンズの「めざめぬ街」などが流れ、中古カセットテープを販売する店舗も出てくる。カセットテープの選曲は凝っているが、それ以上にスナックのママを演じた石川さゆりが歌う日本語バージョンの「朝日のあたる家」は素晴らしい。日本語訳は懐かしい浅川マキで、映画ではスナックの中でギターを演奏しているのはあがた森魚という。

 カセットテープから流れる曲では、ルーリードの「パーフェクト・デイ」もある。映画のタイトルに通じた曲と思われれるが、イギリス映画『トレインスポッティング』で使用され、デュランデュランなど様々な歌手がカバーしている。映画では、カナダ出身のパトリック・ワトソンのカバー曲も流れる。

 

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