1月28日のNHK日曜美術館は、日本を代表する陶工として知られる河井寛次郎が自ら設計した京都の工房兼自宅、没後家族の手で大切に守り伝えられている「河井寛次郎記念館」を取り上げた。2階建ての京町屋風木造建物で、自然光が入る大きな吹き抜けがあり、階段をのぼると中央の作業場兼交流の場が一望できる。ぜひ見学に行ってみたいと思ったが、残念ながら京都には簡単には行けない。日曜美術館では最後に豊田市民芸館で「河井寛次郎展」を開催中と告知していたので、京都ではなく同じ西三河の豊田市に行ってみた。
豊田市平戸橋町にある豊田市民芸館は愛知県唯一の民芸館で、周辺はかつて交通の要衡、川湊、観光地として栄えた平戸橋の土を愛した陶芸家が集まっていた場所。柳宗悦設計の日本民藝館(東京・駒場)の大広間と館長室を移築し、昭和58年に第1民芸館を開館した。その後、昭和60年に第2民芸館、平成3年に田舎家を再現して造られた常設展示場の第3民芸館を建設。このほか、敷地内には茶室、旧井上家西洋館、登り窯、陶芸資料館も並んでいる。
豊田市民芸館の「河井寛次郎展」は昨年12月16日に始まり、3月10日まで開催している。同館開館40周年事業の一環として企画したもので、開館50周年を迎えた河井寛次郎記念館の所蔵品を集めて柳宗悦と共に日用雑器の美へ関心を深め、「民藝運動」を推進した河井寛次郎の創作活動の全貌を紹介している。会場は第1民芸館と第2民芸館。第1民芸館では初期から後期までの陶業や木彫、書を集めて展示。第2展示場では暮らしを意識した作品や、金工・木彫などのデザインの仕事、合わせて愛蔵品も紹介している。
「河井の陶業は、東洋陶磁に倣った初期作品、民芸運動を牽引する中での実用を意識した中期作品、独創的な造形美へと変化した後期作品に大別され、いずれも技巧性・独創性において高く評価されています。また、陶業のみにおさまらず、その表現は木彫や書、デザイン分野など多岐にわたります」(展示会パンフから)。
第2民芸館の展示 |
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