1979年(昭和54年)4月11日に開館した高浜市立図書館は、鉄筋コンクリート2階建てのレンガ色の図書館として親しまれていたが、老朽化によって3月31日に閉館した。残念ながら高浜市は資金のかかる建て直しは計画しておらず、既存施設の中に図書館機能を複合化して省力化を図ることになった。図書館機能を加えるのはかわら美術館と名鉄三河高浜駅前のいきいき広場で、いずれも7月22日から本格的なオープンを予定している。
新しい複合化図書館は「高浜市やきものの里かわら美術館・図書館」が正式名称で、かわら美術館の方を本館、サブ施設を「いきいき広場・図書情報スペース」として運用する。本館では、2階にあった陶芸創作教室を閉鎖して開架式書庫「ライブラリー ほんの森」に改造し、近くに閉架式書庫も設ける。ライブラリーの面積は書庫も含めて280平方メートル、書庫在庫6千冊も含め約2万冊を在庫する。一般図書を中心に郷土資料、雑誌・新聞なども揃え、展示会などとタイアップした特集コーナーも計画している。
いきいき広場・図書情報スペースは “としょぴあ” が愛称で、2階100平方メートルに一般図書コーナー(健康や医療などのテーマで2800冊)、3階175平方メートルにこどもと暮らしの本コーナー(6000冊)を設置。また、2階には30席を配置した学習コーナーを設置、中高生向けの書籍800冊も揃え、進学・資格に関するパンフレットなども設置する予定。こどもと暮らしの本コーナーでは、読み聞かせなどのイベントも行うという。
閉館した高浜市立図書館 |
図書館機能を加えるかわら美術館 |
2階の陶芸創作教室をライブラリーに |
かわら美術館・図書館の運営にあたっては、昨年10月に乃村工藝社、図書館流通センター中部支店、NTTファシリティーズ東海支店で構成する共同事業体を指定業者に選定したという。市立図書館の蔵書数は約20万冊と言われていたが、かわら美術館・図書館の資料では本館の在庫が2万冊、としょぴあが1万冊弱となり、何と以前の15%の蔵書数にしかならない。西三河では従来も最も小さい図書館だったが、複合化でさらに大幅な小型化となるようだ。
特に気になるのは、かわら美術館・図書館本館に閲覧席が設置されるのか、3月に発行されたリーフレットに明記されていないこと。ゆっくり座席で読書するスペースがないような図書館は図書館と言えないので、きっとオープンすればどこかに設けられるのだろう。